住宅の敷地の一角を畑として利用し作物を育て、日常の食卓で消費されているご家庭もたくさんいらっしゃるでしょう。いわゆる家庭菜園というものです。
では、この家庭菜園は「農地」に該当するのでしょうか。もし該当するとしたら、農地関係法令の定めに従わなければならないということになります。
農地法上の「農地」
では、そもそも農地とはどのような土地のことを言うのでしょうか。
農地法および国の通知によると、次のように定義しています。
- 農地とは耕作の目的に供される土地のことをいう。
耕作とは
耕作とは、土地に労働または費用を加え肥培管理を行って作持を栽培することをいいます。
耕作の目的に供される土地
耕作の目的に供される土地には、現に耕作されている土地のほか、現在は耕作されていなくても耕作しようと思えばいつでも耕作できるような、客観的に見てその現状が耕作の目的に供されると認められる土地(休耕地・不耕作地)も含まれるも含まれるとされています。
つまり、農地法上の農地とは次のようになります。
また、農地と採草放牧地をあわせて「農地等」ということもあります。
家庭菜園は農地ではない
家庭菜園も耕作している土地といえますが、農地法でいう「農地」には該当しないものと考えられています。
これは、あくまで敷地の一部を構成しているにすぎず、農地として独立した価値を認めることはできないと考えられているためです。
家庭菜園と同様に学校の校庭にある教育目的の畑も農地ではないと解釈されています。
家庭菜園の延長で農業はできない
家庭菜園の規模を拡大したいと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、家庭菜園のために農地を買ったり借りることはできません。なぜなら、農地法は農業に従事する者にしか農地の取得を認めていないからです。
家庭菜園は非農家による一時的、変則的なものと考えられているため、継続的な事業としての営農が期待できないということです。
宅地、雑種地なら家庭菜園はできる
家庭菜園のために農地は取得できませんが、それ以外の宅地や雑種地なら農地法の規制はかかりません。
したがって自由に取引することができるため、家庭菜園の規模を拡大することはできます。
しかし、注意しなければならないのが、固定資産税です。いくら家庭菜園をしているからといって簡単に農地として税金が優遇されることはありません。宅地並みの課税がされてしまいます。
固定資産税は登記地目ではなく現況地目で課税します。もし現況が農地であって登記地目が宅地である場合で、すぐに農地と評価して固定資産税を優遇すると、登記地目が宅地であるのを良いことに農業を辞めて宅地として利用されてしまうリスクがあります。
したがって役所は易々と農地としては認めてくれないのです。