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農地転用許可申請後に売主または買主が死亡した場合

農地を売買するとき、原則として双方申請の原則に従い、当事者(売主と買主)が連名で申請しなければなりません。

農地転用の申請者についてはこちらで確認できます。

では、申請してから許可されるまでの間に当事者のどちらかが死亡してしまった場合、許可申請はどうなってしまうのでしょうか?

Q.許可前に【売主】が死亡した場合の取扱いは?

A.許可手続きは進行する。

農地法の許可申請後、売主が死亡したときは、申請の効力は売主の相続人に継承されます。したがって、申請を再度行う必要はなく、その後受けた許可は有効です。

相続登記をしないと所有権移転登記はできない

農地の所有権移転は、当事者の契約だけでは成立せず、農地法の許可を受けることによってはじめてその契約が有効になります。

農地法許可(届出)の効果に関してはこちらで詳しく説明しています。

許可を受ける前に売主が死亡したということは、厳密には相続が発生して相続人に農地が移転してから買主は許可を受けることになります。

ですから、厳密には買主は売主の相続人から農地を買うことになるのですが、前述の通り許可手続きは有効に進行します。

しかし、許可自体は有効であっても買主の所有権移転登記をするには、売主の相続登記をしなければならないとされています。

これについては、登記先例が以下のように説明しています。

登記先例 昭40.3.30民三発309号

  • 農地の売主死亡後、農地法3条の許可があった場合に、相続登記を省略して売買による所有権移転登記を申請することはできない。

登記先例

法務局民事局長等の通達や質疑に対する回答のこと。

許可前に【買主】が死亡した場合の取扱いは?

A.許可は無効となる

農地法の許可申請後、買主が死亡したときは、売主が死亡した場合と異なり、許可手続きは相続人に承継されることなく、発せられた許可は無効となります。

有効な許可を受けるためには、あらためて売主と買主の相続人による申請によって許可を受けなおす必要があります。

このとき、遺言または遺産分割協議書があれば、相続登記はしていなくでも許可申請は可能です。

直接買主の相続人に所有権移転登記することはできない

許可前に買主が死亡した場合、許可は無効ですから買主の相続人に所有権移転登記をすることはできません。

登記先例 昭51.8.3民三4443号

  • 農地の譲受人である死者に対してなされた農地法3条許可は無効であり、相続人は当該許可書を添付して所有権移転登記をすることはできない。

許可後、買主が死亡した場合も直接相続人に所有権登記はできない

買主が生存しているうちに許可を受け、その後に死亡した場合、許可自体は有効ですが直接買主の相続人に所有権移転登記をすることはできません。

この場合、死亡した買主の相続登記を経る必要があります。

登記研究486号

  • 被相続人(死亡した者)がその生前に、農地法第3条許可を得て農地を取得していた場合に、相続を証する書面を添付しても直接相続名義人に所有権移転登記をすることはできない。

登記研究

株式会社テイハンから出版されている登記に関する雑誌のこと。実務に関する見解が紹介されており登記先例ほどではないものの、公式見解に近いものとして考えられている。

Q.許可後に当事者が死亡した場合の取扱いは?

A.いずれも許可の効力に影響はない(登記研究124号45項)[3条許可の場合]

許可後に売主または買主が死亡した場合には、いずれの場合も許可の効力に影響はなく有効です。

ただし、前述の通り、相続登記を省いて直接相続人に所有権移転登記をすることはできませんので注意が必要です。

相続人に承継されないという取り扱いもある!?

実際に問い合わせで、「許可後に買主が転用計画を実行せずに死亡場合に以前受けた許可は有効なのか?」という質問がありました。

結論から言うと、実務上は農地転用の許可は一身専属権と考えられており相続の対象となっていないと解釈されています。

一身専属権

その権利の性質などから特定の者のみが行使しまたは享有できる権利のこと。第三者への譲渡や承継ができない権利。

よって、申請人(譲受人)が許可を受けた後に転用計画を実行せずに(土地は農地のまま)亡くなってしまった場合は許可の効力は相続されず消滅するため、相続人が同一または別の転用事業を行おうとする場合には改めて転用許可を受けなければならないとされています。(法人は除く)

結局どっち?

登記研究の解釈では許可後の譲受人の死亡後は有効となっているのですが、一方で一身専属権だから消滅という矛盾した結論になってしまっています。

残念ながらこの矛盾が生じているのが現在の実情です。

登記研究が法務省側の解釈(公式解釈ではない)であるのに対し、一身専属権の解釈については農水省側の解釈であるところからすると縦割り行政の弊害が生じているのかもしれません。

いずれにしろ、白黒はっきりさせるには裁判例があれば手っ取り早いのですが、現時点では存在しないようで行政の法解釈に委ねられていると考えられます。

追記

その後いろいろ調べた結果、実務的には4・5条転用許可については一身専属権としての取り扱いになっていて、3条許可については一身専属権の取り扱いはしないということになっているようです。

分かりやすく言うと、4・5条転用許可については相続が発生し相続人が転用事業を継承する場合には改めて許可を受ける必要があり、3条許可については改めて許可を受ける必要はないということです。
(売買契約が成立している前提で)

これは4・5条転用許可は3条許可と異なり、権利の設定や移転に加えて転用計画も審査の対象になっているからと考えられます。

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