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生産緑地とは

2015/06/09

生産緑地おそらくあなたも、住宅街の一角にある農地の前に「生産緑地」と掲げられた標識を見たことがあるかもしれません。

この標識は、ただの飾りではありません。

生産緑地とは、法令に従って行政から指定を受けた特別な農地であって、それに伴い様々な義務が生じたり、優遇を受けることがでることをご存知でしたでしょうか?

今回は、この生産緑地について掘り下げてみようと思います。

生産緑地とは

生産緑地とは、都市計画法上の住居地域や商業地域などの用途地域と同じ地区指定の一つで、市街化区域において生産緑地地区として指定された地区内の農地がその対象となります。

他の地区指定との違いは、その指定に農地所有者の同意が必要とされる点です。

生産緑地に指定されると、基本的に営農を継続し続ける義務が生じますが、反対に税制上の優遇を受けることができるようになります。

市街化区域と市街化調整区域についてはこちらで詳しく解説しています。

税制上の優遇

生産緑地の最大のメリットは、税制上の優遇措置を受けることができることです。

詳しい内容は省きますが、以下のような税の優遇を受けることができます。

  1. 固定資産税、都市計画税の軽減
  2. 相続税の納税猶予制度の適用
  3. 生産緑地の相続税評価減
  4. 不動産取得税、登録免許税の軽減
  5. 自治体が買い取った場合、譲渡所得税の特別控除

三大都市圏の特定市の市街化区域内にある農地に対する固定資産税は宅地並みとされますが、生産緑地となることで市街化調整区域の農地と同等程度に抑えられます。

三大都市圏の特定市

三大都市圏とは、首都圏、中部圏、近畿圏のことで、これら3つの都市圏内にある特定の市町村とその他の市町村では、市街化区域内の農地に対する税金の扱いが異なっています。

なお、このページの下部に三大都市圏の特定市を掲載しておきますのでご覧ください。

生産緑地の指定

生産緑地として指定されるためには、現に農林漁業の用に供される農地等であって、次の3つの要件を満たすことが必要とされています。

  1. 生活環境機能及び公共施設等の敷地の用に供する土地として適していること
  2. 面積が一団で500㎡以上の農地等であること
  3. 農林漁業の継続が可能であること

これらの要件を満たしたうえで、さらに幹線道路た下水道などの都市施設の整備や合理的な土地利用に支障をきたすことのないよう考慮されることになっています。

指定には農地所有者の同意が必要

生産緑地は、都市計画法上の地区指定であって、本来は道路建設のときのように土地所有者の同意を得て行われるものではありません。

しかし、生産緑地は農家に継続して耕作をしてもらわなければなりませんから、農地所有者の同意を得ることで制度の実効性を高めようとしていると考えられます。

生産緑地の管理義務

生産緑地の所有者は、その土地を農地として管理しなければなりません。

標識の設置義務

生産緑地には、これを表示する標識を設置さなければならないと生産緑地法によって定められています。

しかし、この標識の設置義務は市町村に対するものですので、設置費用の負担は各自治体が行うと考えられます。

ただし、土地所有者は基本的にこの標識の設置を拒んだり、妨げることはできません。

肥培管理義務

生産緑地の所有者は、生産緑地を農地等として管理しなければなりません。

つまり、耕作を継続しなければならないということです。

生産緑地の行為制限

本来、市街化区域内の農地を転用する場合、農業委員会への届出をするだけで足ります。

しかし、生産緑地の指定を受けることで、次の行為をしようとする場合、市町村長の許可を受けなくてはなりません。

  1. 建築物その他の工作物の新築、改築、または増築
  2. 宅地の造成、土石の採取その他の土地の形質の変更
  3. 水面の埋め立てまたは干拓

ただし、公共施設等の設置もしくは管理に係る行為、または非常災害のための必要な応急措置として行う行為については許可は不要です。

行為制限の例外

前述の通り、生産緑地の所有者には肥培管理義務があり、耕作を継続していかなければなりません。

よって、例外的に営農を継続するために必要不可欠な次の施設については、その建築が認められています。

  1. 農作物等の生産又は集荷の用に供する施設
  2. 農作物の貯蔵又は保管の用に供する施設
  3. 水産物等の処理又は貯蔵に必要な共同利用施設
  4. 農林漁業に従事する者の休憩施設
  5. 市民農園に設置されている農作業の講習のための施設及び管理事務所その他の管理施設

行為制限に違反したらどうなる?

上記の行為制限に違反した者に対して、市町村長は必要な限度のおいて原状回復を命じることができるとされています。

生産緑地の解除

いったん生産緑地として指定された農地は永久に転用できないというわけではありません。

一定の要件を満たすことで生産緑地の指定を解除し、市町村長に対して生産緑地の買取りを申し出ることができるようになります。

買取り申出が可能になる要件は次の通りです。

  1. 生産緑地地区の指定後30年旧生産緑地は5年または10年)経過していること
  2. 主たる従事者等の死亡又はこれに準ずるような事由の発生した場合

上記要件を満たしていたとしても必ず買取りの申出をしなければならないわけではなく、営農を継続することも可能です。

旧生産緑地

平成3年に改正された生産緑地法以前の旧生産緑地法によって指定された生産緑地のこと

主たる従事者

主たる従事者とは、次の者を指すとされています。

  • 中心となって農作業等に従事している者で、その者が従事できないと生産緑地における農業経営が客観的に不能となる場合の該当者
  • 上記の中心となる者が65歳未満の場合はその者の従事日数の8割以上、65歳以上の場合は、その者の従事日数の7割以上従事している者

これに準ずるような事由

死亡に準ずる事由は、具体的には次のようなものが該当します。

  1. 障害により農業従事ができなくなる故障として各市町村長が認定したもの
    (例)両目の失明、精神の著しい障害、神経系統の機能の著しい障害、胸腹部臓器の機能の著しい障害 など
  2. 1年以上の期間を要する入院その他の事由により農業等に従事することができなくなる故障として各市町村長が認定したもの

市町村長の認定が必要としながらも、現実には養護老人ホームへの入所や高齢で営農ができなくなった場合なども、買取り申出ができる事由に該当するように柔軟な対応をしている自治体もあるようです。

法令の文言に該当しないからといって諦めるのではなく、まずは役所に確認してみるのがよいでしょう。

市長村長は買い取らないこともある!?

買取りの申出を受けた市町村長は、特別な事情が無い限り、その土地を時価で買い取らなくてはならないと法律で定められています。

しかし、逆を言えば特別な理由があれば買取る必要はないということになり、実際には財政難などを理由としてほとんど買い取られていないと考えられています。

買取らない場合の手続き

市町村長が買い取らないことになった場合、「買い取らない旨の通知書」が役所から送られてきます。

市町村長は買い取らない代わりに、約2か月間、その生産緑地で農業に従事することを希望する者が土地を取得できるように斡旋することに努めなければなりません。

そして、2ヶ月経過しても希望者が現れない場合、生産緑地の行為制限が解除され、農地転用が可能になります。

申出から解除されるまで3ヶ月程度かかるということになります。

三大都市圏の特定市(平成22年4月1日現在)

区分 都道府県 都市名
都市圏 東京都 23区、八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、多摩市、稲城市、羽村市、あきる野市、西東京市
神奈川県 横浜市、川崎市、横須賀市、平塚市、鎌倉市、藤沢市、小田原市、茅ヶ崎市、逗子市、相模原市、三浦市、秦野市、厚木市、大和市、伊勢原市、海老名市、座間市、南足柄市、綾瀬市
千葉県 千葉市、市川市、船橋市、木更津市、松戸市、野田市、成田市、佐倉市、習志野市、柏市、市原市、流山市、八千代市、我孫子市、鎌ヶ谷市、君津市、富津市、浦安市、四街道市、袖ヶ浦市、印西市、白井市、富里市
埼玉県 川越市、川口市、行田市、所沢市、飯能市、加須市、東松山市、春日部市、狭山市、羽生市、鴻巣市、上尾市、草加市、越谷市、蕨市、戸田市、入間市、鳩ヶ谷市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、三郷市、蓮田市、坂戸市、幸手市、鶴ヶ島市、日高市、吉川市、さいたま市、ふじみ野市、熊谷市
茨城県 龍ヶ崎市、取手市、坂東市、牛久市、守谷市、常総市、つくばみらい市
近畿圏 大阪府 大阪市、堺市、岸和田市、豊中市、池田市、吹田市、泉大津市、高槻市、貝塚市、守口市、枚方市、茨木市、八尾市、泉佐野市、富田林市、寝屋川市、河内長野市、松原市、大東市、和泉市、箕面市、柏原市、羽曳野市、門真市、摂津市、高石市、藤井寺市、東大阪市、泉南市、四條畷市、交野市、大阪狭山市、阪南市
京都府 京都市、宇治市、亀岡市、城陽市、向日市、長岡京市、八幡市、京田辺市
兵庫県 神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市
奈良県 奈良市、大和高田市、大和郡山市、天理市、橿原市、桜井市、五條市、御所市、生駒市、香芝市、葛城市、宇陀市
中部圏 愛知県 中部圏愛知県名古屋市、岡崎市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、津島市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、犬山市、常滑市、江南市、小牧市、稲沢市、東海市、大府市、知多市、知立市、尾張旭市、高浜市、岩倉市、豊明市、日進市、愛西市、清須市、北名古屋市、弥富市、みよし市、あま市
三重県 四日市市、桑名市、いなべ市

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