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時効取得した農地の登記

2015/03/27

登記農地法によれば時効取得の場合、農地法の許可を受けなくても農地を取得することができます。農地の時効取得については、以前このサイトでもご紹介しました。

まだ読んでいない方はこちらからどうぞ。

農地の時効取得

あわせて読んでみてください。

非農家でも農地を取得できる3つの方法

ここでもう一度、取得時効(取得時効による権利取得を時効取得といいます)の条件について確認することにします。

民法162条(所有権の取得時効)

  1. 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
  2. 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

上記の条件を満たし、さらに時効の援用(時効であることを主張すること)をすれば、時効は完全に成立し、所有権は移転することになります。

所有権移転登記

通常、売買などで土地を取得した場合、第三者にその所有を明示するために登記をします。

登記をしないと、第三者に対して所有者であることを主張できず、トラブルの原因となることがあります。ですから、登記は義務ではありませんが、不動産の権利関係を明確にする大切な手続きです。

農地の場合も同様で、取得後には登記をするのが一般的です。例えば、農地転用をして住宅を建てた場合は、住宅を建ててから建物と土地の登記を同時に行ったりします。

登記をすることで、すべての人に対して農地の所有者であることを主張することができるようになります。もちろん、非農家であっても問題ありません。

通常の手続きで農地を取得した場合の登記

売買や贈与といった通常の手続きで農地を取得した場合、登記の申請において農地法許可または届出を提出しなければなりません。これは、農地法の規制を担保する意味があります。

したがって、当事者が農地の売買契約書を交わしただけでは登記はできないことになります。

なお、非農地証明を得た場合は、その非農地証明を許可または届出の代わりに提出します。

非農地証明で許可(届出)不要!?

時効取得で農地を取得した場合の登記

冒頭でご紹介した通り、時効取得の場合、農地法の許可を受けなくても農地を取得することができます。したがって、登記の申請においても農地法の許可や届出は必要ありません。

時効取得による登記の申請者

土地の登記では、時効取得のように、売買等の契約によらないで権利取得をした場合にも、原則として登記義務者(譲渡人)と登記権利者(譲受人)の共同で登記申請しなければならないことになっています。

不動産登記法第60条(共同申請)

権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。

しかし、例えば農地の取得時効が成立して所有権移転をしたくても、相手側がそれを拒否した場合、いつまでも登記ができないといった事態が発生します。

このような事態に対応するための方法として、判決による単独登記が認められています。

裁判において登記手続を命ずる確定判決を取得し、この判決書を添付すれば、単独で時効取得による所有権移転登記をすることが可能となります。

不動産登記法第63条(判決による登記等 抜粋)

申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。

裁判で取得時効を立証するのはどっち?

裁判において取得時効の成立を争う場合、時効を阻止したい所有者が相手の時効が成立していないことを証明するのか、それとも時効取得したい占有者が自己の時効が成立したことを証明するのか、という問題があります。

この問題について民法では、次のように定めています。

民法第186条1項(所有の推定)

占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。

つまり法律上、あるものを占有する者はすでに取得時効の条件を満たしているものと推定されます。

したがって、裁判では取得時効を否定する者が、取得時効の条件を満たしていないことを主張しなければならないことになります。

時効を偽装したらどうなるのか?

おそらく頭の回転が速いあなたは、こんなことを考えるかもしれません。

「時効を偽装して農地法の規制をすり抜け、所有権移転登記をしてしまえば、農地法の許可を受けなくても農地を取得できるのではないか?」

確かに、当事者が共謀して時効が成立していることを主張し、共同で登記を申請すれば表面上適法な申請であると偽装できるかもしれません。事実、このような行為が横行した時代があったようです。

しかし、この点に関して法務局と農業委員会は、互いに連携して農地法違反行為の防止措置を講じています。

法務局と農業委員会による農地法違反防止措置

時効取得を原因とする農地の所有権移転登記の申請がされたとき、もしくは登記が完了したとき、次のような措置を講じます。

  1. 法務局から農業委員会への通知
  2. 農業委員会の調査
  3. 農業委員会から法務局へ調査報告

調査の結果
【時効成立の場合】

  • 登記完了

【時効不成立の場合】

  • 登記申請の取下げまたは抹消
  • 是正させる行政指導
  • 農業委員会から都道府県知事への報告
  • 是正行為の督促
  • 都道府県知事から告発

上記のように法務局と農業委員会は連携して違反行為をさせないための対策を行っています。

まとめ

時効取得で手に入れた物は、法律上「元々所有していた物」とみなされます。成立が難しい分、その効力は強力なのです。

ときには時効取得によって、例えば相手の土地を奪ってしまう形になることもあります。この場合、登記の共同申請を拒否されることも考えられます。そうなると、残された方法は裁判しかありません。

裁判の提起は、さらなるトラブルを引き起こす可能性もありますので、時効の適用をお考えの方は法律に詳しい専門家に相談するなど慎重な対応が必要とされるでしょう。

登記手続きについて

登記手続きに関するご相談は幣所では承ることができません。

所有権に関する登記につきましては、司法書士の管轄となりますので、最寄りやお知り合いの司法書士にご相談されることをお勧めいたします。

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織田行政書士事務所
代表者 行政書士 織田 隆史
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